■人生のどん底から救ったのは金魚姫!?
本書は『海の見える理髪店』で直木賞を受賞した荻原浩さんが書いた、笑って泣ける物語です。金なし、休みなし、彼女なしで、うつ気味のサラリーマンが主人公。
そんな主人公を人生のどん底から救ったのは、なんと金魚姫!?
だけど、やっぱり「金魚の身の上話は聞かないほうがいい」(荻原)か。
金魚の化身の訳あり美女と、ひと夏の運命物語
主人公・潤の勤め先はブラック企業の仏壇仏具販売店。同棲していた彼女は出て行った。明日からの地獄の日々を思い、日曜日にうつうつと過ごしていると、祭り囃子が耳に入ってくる。腹ごしらえも兼ねて足を運び、気まぐれに金魚すくいの出店に立ち寄った。
ところが、運良く釣れた金魚の琉金を飼い始めると、いきなり美女が現れる。なんと釣れたのは、人間になったり魚に戻ったりする金魚だった。
琉金だから〝リュウ〟と名付けられた金魚姫。リュウは気が強いけど、無邪気でかわいく、時折、部屋で観ていたテレビCMの真似をしたりする。
一方、潤はリュウと暮らし始めてから死んだ人が見えるようになる。死者からその人しか知らない情報を得て訪問販売すると、営業成績がどんどん上がっていく。
リュウは前世の記憶をなくしていて、自分がなぜ現代によみがえったのかが分からずにいる。物語が進むにつれて、リュウの正体が明かされていき、彼女の記憶がよみがえっていく――。
本書では、2人の楽しそうな同居生活の描写の合間に、リュウの悲しい記憶が織り交ぜられているため、読者は薄々、リュウがなぜ琉金に姿を変えることになったのかを知っています。
しかし、物語はすんなり終わりません。
さて、二人の行く末を案じながら読み進めた皆さんは最終章、どのような光景を目にするのか――。
<見どころ・感想>
■しぐさがかわいい金魚姫
高飛車でプライドが高いリュウが、テレビを見て同世代の女の人の言葉やしぐさを一生懸命真似して、知ったかぶりをする姿がかわいらしいです。しかも、えびせんが大好き。
■自分を捨てた恋人と再開するが…
物語の途中、自分を捨てた恋人の亜結と潤が会う場面があります。リュウとの同居生活をしている中で、読んでいてはらはら。ただ、恋人の様子がどうもおかしい。
それは、どうしてか。その謎が分かると、ちょっぴり切ない気持ちになります。
荻原 浩
KADOKAWA/角川書店 (2015-07-31)
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