■理論に照らして考えると面白い
行動経済学とは何かその一端を知ることができる本です。本書には、ところどころ◯◯理論、△△効果など、多くのものが出てきます。そのような理論に照らして、物事捉えると人間のとる行動が読めて面白いです。
「行動経済学って何」が学べる入門書
本書は、感情や直感に流されがちな買い物習慣や生活を、行動経済学の理論を利用して見直してみようという話です。標準的な経済学では、人間が合理的でいつも最適な判断をして、最適な選択をする前提としています。
これに対し、行動経済学は、人はそれほど合理的ではなく、間違いをしやすいと考えています。
そうした合理的とは言えない選択や行動を、各種の実験、アンケート、心理学的考察などを用いて解明していこうという学問です。
ついとってしまう行動について、身近な事例を引きながら、行動経済学の観点から解説しています。
◎注目点
各章で紹介されている理論が心理学的な要素もあって、興味深いです。以下、私が面白いと思ったところをピックアップして紹介します。
■期間限定の魔力
各章のはじめには、「こんなことありませんか?」というようなエピソードが紹介されています。このエピソードもあるある物語で面白いと思いました。例えば、第1章「なんでこんなの買っちゃったんだろう」。
三十代の主婦が無駄遣いを避けようと特売品を買ったりしているが、〝現品限り〟と書かれた使い捨てカイロなどに手を伸ばしたり、結局疲れて駅前の喫茶店でお茶をしたりして余計な出費をしてしまうエピソードが提示されています。
ここでの解説として、「期間限定」の希少性によって、ついつい購入してしまうことなどが語られています。
■得するよりも損したくない
また第3章「得するよりも損したくない」では、私たちが常に、損失を回避しようとする傾向があることを紹介しています。ある日、あなたが歩いていて100円を落としたとします。それなりのショックを受けるでしょう。また、別の日には道端で100円を拾ったとします。100円ぐらいでは警察に届け出ないかも知れませんが、なんとなく嬉しくなるはずです。
さて、同じ100円の損と得ですが、喪失感と満足感、どちらが大きいでしょうか。
これは、一般的には100円を失った喪失感の方が大きいそうです。
本書によれば、お金を失ったときの失望感は、同額のお金を得た時の満足感の2~2.5倍に匹敵するという数値も出ていると言います。
■埋没費用
経済学用語に「サンコスト」というのがあるそうです。これは、日本語では埋没費用などと言われ、「すでに支払ってしまって、もう回収できない費用」という意味です。例えば、ランチバイキングで3000円支払ったら、あまり食べられなくても元を取ろうとどんどんお代わりしてしまうような行動のことをいいます。
本書で、ちょっと待てよと立ち止まって、冷静に考えてみるクリティカルシンキングを勧めてます。
■選択肢が多いと何も選ばない
普通は、選択肢が多ければ多いほど、自由に選ぶことができて人は満足感が大きくなると考えられています。しかし、選択肢が多いと情報過多となり、選択できなくなるといいます。
例えば、6種類のジャムと24種類のジャムをスーパーで並べたところ、種類の多い方が見に来るけど、実際に購入する人が多いブースは6種類のジャムだったそうです。
種類が多いと「もっと良いものがあったのではないか」という後悔や失敗の気持ちにもなり、そのマイナス感情が損失を避けようとします。
確かにファストフードでメニューが多いと悩んでしまいますね。
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