吃音の先生が悩み苦しむ生徒に寄り添う感動作『青い鳥』(著・重松清)

2019年7月22日月曜日

重松清 青い鳥

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青い鳥


〝涙活〟にぴったり

意識的に涙を流すことによってストレスを解消する「涙活」(るいかつ)。

皆さんは、涙活してますか?

テレビドラマ『とんび』を見て、原作者の重松清さんの作品を読んでみたいと調べていたら、『青い鳥』が名作と評価が高いので手に取りました。

評判通り、心打たれる物語ばかりで感動。
特に最後の「カッコウの卵」は目を真っ赤にして読みました。
「涙活」にぴったりの本だと思います。


まだの方はぜひ、読んでもらいたいです。

ちなみに、作品の一つである『青い鳥』は、阿部寛主演で映画化され、第21回東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門で上映されたそうです。


吃音の先生が悩み苦しむ生徒に寄り添い導く話

本書は、中学校が舞台の短編集となっています。

全編通して作品に出てくる、非常勤講師を勤める村内先生が、〝ひとりぼっち〟で苦しむ生徒のそばに寄り添い、〝本当に大切なことは何か〟を教えてくれます。

その村内先生は国語の教師なのに、吃音のため、言葉がつっかえてうまくしゃべれません。だから、先生は「本当に大切なことしか言いません」と語ります。

学校には、うまくしゃべれない村内先生を馬鹿にしたような態度をとる生徒も多くいます。

でも、本当に悩み苦しんでいる生徒には、村内先生の〝たいせつな〟言葉が響きます。

各章では、非常に重たく辛い事情を抱える生徒たちが登場します。ですが、どれも村内先生との出会いがきっかけとなって前向きに変化していく感動の物語になっています。

熱血先生とは違う、本当の意味で生徒に〝寄り添う〟大人が村内先生なのだと思います。

「間に合って良かった」――。こう語る村内先生の一言にはなんとも言えない安心感を感じました。

【ネタバレ!?】各物語はざっくり、こんなお話

以下は、自分の覚え書きのためにも、各物語を簡単にまとめました。
ネタバレを含みますので、知りたくない人は申し訳ありません。

ただ、要約を見ても実際読んでみないと、その感動は伝わらないと思います。

■ハンカチ

学校にいる時は、緊張して言葉が出てこない場面緘黙(かんもく)症で悩む生徒の話。

キーワード:ハンカチ

■ひむりーる独唱

担任の先生を刺してしまった生徒の話。

キーワード:草野心平、カエル

■おまもり

父親が交通死亡事故を起こしてしまった生徒の話。

キーワード:犯人、バスケ

■青い鳥

いじめの加害者になってしまった生徒の話。

キーワード:青い鳥BOX、コンビニ

■静かな楽隊

自分の気持ちを言えず、周りと合わせるのがつらくなってしまった生徒の話。

キーワード:カスタネット、私立と公立

■拝啓ねずみ大王さま

父親が自殺してしまった生徒の話。

キーワード:ハムスター、ムカデ競走

■進路は北へ

内部生と外部生で壁を作る、小中高大一貫校の雰囲気が嫌になってしまった生徒の話。

キーワード:黒板の位置、方位磁石、アナゴ

■カッコウの卵

家庭を知らずに育った生徒が、卒業後、お世話になった村内先生に再会する話。

キーワード:児童養護施設

各話どのように物語が進み、村内先生が悩む生徒にどうやって関わるのかは、ぜひ読んで見てください!

『青い鳥』(著・重松清)


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自己紹介

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時代小説好きの父と、ミステリー小説好きの母の下、幼い頃から本に囲まれて育ちました。その影響もあり、私も赤川次郎さんの「三毛猫ホームズ」シリーズから推理小説が好きに。高校生の時に、毎日のようにブックオフに寄って、中古本を買いあさり夢中で読んでました。最近では、石持浅海さん、辻村深月さんも読んでいます。職業柄、勉強のため、毛色の異なる本も手にします。ブクログもやっています→https://booklog.jp/users/47744715b09cce08

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