リーダー的存在が、部下を統率することで組織を動かしてきた時代からビジネス環境は変化し、人材にも多様性が求められるようになった近年。
これまでのリーダーシップとは真逆ともいえる〝サーバントリーダーシップ〟というものが注目されるようになってきました。
サーバントリーダーシップとは、アメリカのロバート・K・グリーンリーフ氏が提唱したリーダーシップ哲学で、「真のリーダーはフォロワーに信頼されており、まず人々に奉仕することが先決である」という考え方に基づくものです。
「サーバント」とは、召使いなどという意味だそうです。
部下に対して、奉仕の気持ちを持って接し、どうすればメンバーの持つ力を最大限に発揮できるかを考え、その環境づくりに取り組むリーダーシップです。
本書では、この言葉は出てきませんが、そのサーバントリーダーシップという考え方のようなものが学べる一書です。
※サーバントリーダーシップとは
漫画『宇宙兄弟』から学ぶ現代版リーダー像
漫画『宇宙兄弟』(作・小山宙哉)を題材に、現代に求められるリーダー像を指南する本です。「リーダーは先頭を走り、みんなを引っ張れる優秀な人間でなければならない」 ――。
リーダーといえば、漠然とそういったイメージを抱いている人は少なくないのではないでしょうか。
本書では、宇宙兄弟の主人公・南波六太を引き合いに出して、こうしたこれまでの〝牽引型の優秀なリーダー〟は、もういらないと指摘します。
漫画『宇宙兄弟』の中で、兄・ムッタは弟・ヒビトと比べて、一見リーダーのようなタイプに見えません。「何をやっても、デキのいい弟に先を越されてしまう兄」というコンプレックスに苦しみ、なかなか自分に自信を持てません。
ところが、不思議と彼がいるチームは結果的に物事がうまくいくパターンが多いです。
それは何故なのでしょうか。
例えば、本書では、これまでの優等生タイプのリーダーを〝賢者風〟とすると、ムッタのようなタイプを〝愚者風〟リーダーだといいます。
この愚者風タイプは、先頭に立って引っ張るというより、「どうすればいいと思う?」と、チームや相手の意見を求めます。具体的な行動についても、指示や命令ではなく、「私はこうしたい」「こうしてほしい」といったニュアンスで伝えます。
また、筆者はリーダーの役目について「メンバーを仕切ったり、命令したりすることではありません。『リード』することなのです」と訴えます。
牽引型リーダーという型にはまって、汲々としている考えから脱するきっかけになる本だと思いました。
<注目点>
■「使える脳みそは全部使っとけ」
「お前の役に立つ脳みそは1個だけじゃねぇだろ。使える脳みそは全部使っとけ」
メンバーそれぞれの得意分野・アイデアを活かし、「0」から「1」を生み出す。これこそが、ネットワーク型組織の極みです。
(21巻#202)
本書によれば、アフリカのことわざで、「速く行きたいなら1人で行け。遠くへ行きたいならみんなで行け」という言葉があるそうです。
「競争」から生まれるポテンシャルには限界がある。
「共創」なら、ポテンシャルを無限に高めることができる。
――いい言葉だと思いました。
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